北里大学 岡田典弘 特任教授らとの共同利用研究の成果が PLoS Genetics 誌に掲載されました。

闘魚の闘争時における2個体の行動と転写産物の同調現象の発見

北里大学岡田典弘 特任教授ら、国内6組織および国外3組織との共同利用研究の一環として行われた、闘魚の闘争時における2個体の行動と転写産物の同調現象の発見に関する論文が、6月17日付で PLoS Genetics 誌に掲載されました。

2匹の闘魚 (Betta splendens) を同じ水槽に入れて戦わせたところ、それらの行動パターン及び、脳における遺伝子の発現パターンが同調するという現象を発見しました。
しかも同調する遺伝子の発現量はペアーごとに異なり、ペアーに特異的であることが見出されました。
これらの発見は、高等動物で対になった社会的な関係が生じたときには、競争的であれ協同的であれ、その相互作用によって相互の個体の脳中での遺伝子発現がペアー特異的に同調するという可能性を示唆します。将来的には戦いのみならず、共感という現象をも分子生物学的に説明する手がかりになると期待できます。
生物機能情報分析室は、ベタ個体それぞれの脳内における遺伝子の発現をRNA-seq法で調べる部分に関わり、闘魚の脳内の遺伝子発現が戦うペア間で同調することの発見に貢献しました。

論文
https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1008831

プレスリリース
http://www.pharm.kitasato-u.ac.jp/genome/newsrelease20200612.html