ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 春 開催報告

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 春
「RNA-seq 入門 – NGS の基礎から de novo 解析まで」
開催報告

生物機能情報分析室 重信秀治

日程:2016 年 3 月 10 日 – 11 日
受講生:21 名
講師:
重信秀治(基礎生物学研究所 生物機能解析センター 特任准教授)【オーガナイザー】
内山郁夫(基礎生物学研究所 生物機能解析センター 助教)
佐藤昌直(慶應義塾大学 特任助教)
山口勝司(基礎生物学研究所 生物機能解析センター 技術職員)
西出浩世(基礎生物学研究所 生物機能解析センター 技術職員)

概要
 ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース「RNA-seq入門」は、生物情報学を専門としない生命科学研究者を対象に、次世代シークエンサー(NGS)を使ったトランスクリプトーム解析(RNA-seq)をどのように実験デザインし、どのように膨大な遺伝子発現データから生物学的な情報を抽出するのか、その基礎的技術と考え方を身に付けることを目指したものです。次世代シークエンスデータのフォーマットの理解などの基礎的事項から、ゲノム情報のない生物種でトランスクリプトーム解析を可能にする de novo RNA-seq 解析などの発展的内容までを、講義とコンピュータを用いた演習を組み合わせて行いました。

 RNA-seq が生物学の各方面へ浸透してきた事を反映して、生物学者からの RNA-seq データ解析技術習得のニーズはとても高い状況にあります。今回も定員(16名)を大幅に超える 67 名もの応募があり、書類選考の結果、21 名に参加いただきました。学部生から PI まで幅広い年齢層の受講生全員が、2 日間のタイトなスケジュールでの講義や演習に熱心に取り組みました。アンケートの結果からは、コースに対する満足度は大変高いことが伺えました。

 今回ははじめての取り組みとして、準備編(2 日間)と RNA-seq 入門(2 日間)を分割して実施しました。受講生からは、準備編で UNIX や R の基礎を学んだあと、2 週間復習をして RNA-seq 入門に望む事が出来良かった、という声がほとんどでした。RNA-seq は新しい技術ですが、モデル生物・非モデル生物問わず、また、基礎から応用分野まで爆発的に普及してきています。一方で、RNA-seq をはじめとする次世代シーケンシングデータは巨大かつ複雑で、その扱いは専門家以外には未だハードルの高いものであることも事実です。多くの生物学者が自由自在に RNA-seq 等のビッグデータを活用できるように、今後も基生研はゲノムインフォマティクストレーニングコースを改良しながら続けて参ります。

参考リンク
研究所のトレーニングコース公式ページ: http://www.nibb.ac.jp/training/2016-1st/
コースのサポートページ: https://github.com/nibb-gitc/gitc2016mar-rnaseq/wiki

プログラム
日程:2016 年 3 月 10 日(木)10:00 ~ 11 日(金)17:30  2日間

1日目:
– 概論
– NGS 基本フォーマット
– NGS 基本ツール Bowtie2, samtools, IGV
– 統計学入門
– RNA-seq 基礎
– 懇親会

2日目:
– RNAseq genome base
– RNAseq de novo
– 多変量解析
– 実践演習