【電子顕微鏡支援担当:大野伸彦(自治医科大学)・深澤有吾(福井大学)】[2022.11.01]
松井広 教授(東北大学)の論文がNature Neuroscience に掲載されました


シナプスを食べて憶える ~グリア細胞による神経細胞の微細構造の貪食が記憶を支える ~

Morizawa Y.M., Matsumoto M., Nakashima Y., Endo N., Aida T., Ishikane H., Beppu K., Moritoh S., Inada H., Osumi N., Shigetomi E., Koizumi S., Yang G., Hirai H., Tanaka K., Tanaka K.F., Ohno N., Fukazawa Y., Matsui K. Synaptic pruning through glial synapse engulfment upon motor learning. Nature Neuroscience 25, 1458-1469 (2022) DOI:10.1038/s41593-022-01184-5

<概要>本研究では、学習後の脳内シナプスを調べることにより、グリア細胞のシナプスの貪食が学習記憶を支えていることを発見しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:大野伸彦・深澤有吾)では、高分解能走査型電子顕微鏡を使用し、脳内のシナプスを含む超微細構造の変化を解析する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(東北大学のサイト)

【光学顕微鏡支援担当:鍋倉淳一(生理学研究所)】[2022.11.02]
田畑秀典 室長(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所)の論文が Nature Communications に掲載されました


神経機能を制御するアストロサイトが脳内に広く分布する仕組みを解明
-精神神経疾患の新たな病態理解に期待-

Tabata H., Sasaki M., Agetsuma M., Sano H., Hirota Y., Miyajima M., Hayashi K., Honda T., Nishikawa M., Inaguma Y., Ito H., Takebayashi H., Ema M., Ikenaka K., Nabekura J., Nagata K.I., Nakajima K. Erratic and blood vessel-guided migration of astrocyte progenitors in the cerebral cortex. Nature Communications (2022) DOI:10.1038/s41467-022-34184-x

<概要>本研究では、脳を構成する主要な細胞であるアストロサイトが胎児や新生児の脳内でどのように移動して持ち場につくのかを明らかにしました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:鍋倉淳一・揚妻正和)では、二光子顕微鏡を使用し、発達期マウス胎児におけるin vivoライブイメージングの技術開発、および4Dデータ(タイムラプスボリュームイメージングデータ)の解析に関する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所のウェブサイト)
プレスリリース プレスリリース(生理学研究所のウェブサイト)
プレスリリース プレスリリース(慶應義塾大学のウェブサイト)

【光学顕微鏡支援:今村建志(愛媛大学)】[2022.09.05]
仁子陽輔 助教(高知大学)の論文が ACS Applied Materials & Interfacesに掲載されました


Matsuura H., Kawakami R., Isoe M., Hoshihara M., Minami Y., Yatsuzuka K., Tsuda T., Murakami M., Suzuki Y., Kawamata J., Imamura T., Hadano S., Watanabe S., Niko Y. NIR-II-Excitable Dye-Loaded Nanoemulsions for Two-Photon Microscopy Imaging of Capillary Blood Vessels in the Entire Hippocampal CA1 Region of Living Mice. ACS Appl Mater Interfaces 14, 40481-40490 (2022) DOI:10.1021/acsami.2c03299

<概要>本研究では、生体二光子励起蛍光イメージングにおける観察可能深度を飛躍的に向上させる新しい蛍光ナノプローブを開発しました。本ナノプローブは第二近赤外光(1100nm)で効率的に二光子励起発光する特徴を有しており、本ナノプローブを用いることでマウスの脳深部領域(海馬 CA1 領域全層:脳表面から1.1~1.5mm)の毛細血管を明瞭に描出することに成功しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:今村健志)では、二光子蛍光顕微鏡を用いた支援を行いました。

【画像解析支援:上野直人(基礎生物学研究所)】[2022.10.05]
近藤寿人 表現ディレクター(生命誌研究館 当時:京都産業大学 教授)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました


Yoshihi K., Iida H., Teramoto M., Ishii Y., Kato K., Kondoh H. Epiblast cells gather onto the anterior mesendoderm and initiate brain development without the direct involvement of the node in avian embryos: Insights from broad-field live imaging. Frontiers in Cell and Developmental Biology 10, (2022) DOI:10.3389/fcell.2022.1019845

<概要>本研究では、脳形成に関わるエピブラスト細胞の移動を、ライブイメージングによって解析しました。エピブラストをランダムに蛍光標識する方法を開発し、長距離(1mm以上)、長時間(18時間以上)にわたるエピブラストの細胞移動を計測しました。頭部エピブラスト細胞には、あらかじめ脳の特定の領域に発生する特異性が備わっており、それらの細胞が前部中内胚葉に向かって集合することによって、脳が形成されることを明らかにしました。ABiS・画像解析支援(支援担当:上野直人、加藤輝)では、細胞の移動を追跡するための新しいデータ処理方法(輝点の同定とその経時追跡)を開発しました。

【光学顕微鏡支援担当:根本 知己(北海道大学 現:生理学研究所)・中垣俊之・三上秀治(北海道大学)[2022.06.17]
小谷友也 准教授(北海道大学)の論文が iScienceに掲載されました


固相のRNA分子倉庫が液相のタンパク質合成工場に
~細胞が必要な時期に必要なタンパク質を合成する新たな仕組みを解明~

Sato K., Sakai M., Ishii A., Maehata K., Takada Y., Yasuda K., Kotani T. Identification of embryonic RNA granules that act as sites of mRNA translation after changing their physical properties. iScience 25, 104344 (2022) DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.104344

<概要>本研究では、受精後に翻訳されるmRNAの存在様式とタンパク質の合成を時空間において高解像度で解析しました。その結果、受精卵で固相として存在したRNA顆粒が卵割期に液相の顆粒に変化し、その内部で翻訳を活性化するという、新たな翻訳制御機構の存在を発見しました。光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己・中垣俊之・三上秀治)では、超解像顕微鏡による細胞のイメージングの支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(北海道大学のウェブサイト)

【光学顕微鏡支援担当:松田道行(京都大学)[2022.05.23]
表原拓也 講師(東京医科大学)の論文が Reproductionに掲載されました


精細管内を流れる精子の分布ならびに精細管壁の動きを可視化
~精細管を精路として捉える新たな研究分野の開拓に期待~

Kanazawa Y., Omotehara T., Nakata H., Hirashima T., Itoh M. Three-dimensional analysis and in vivo imaging for sperm release and transport in the murine seminiferous tubule. Reproduction 164, 9-18 (2022) DOI:10.1530/REP-21-0400

<概要>本研究では、マウスの精巣内で複雑に蛇行する精細管内を流れる精子の分布や動きを解析することで、精巣の精細管内において、精子は出口に向かって一方向に流れるのではなく行ったり来たりしながら流れることを明らかにし、精細管が折れ曲がる部位ではとくに精細管壁が大きく揺さぶられ、精子が剥がれやすくなることを見出しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:松田道行)では、二光子顕微鏡を使用し、マウスを生かしたまま精巣内の精細管の動きを観察する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(東京医科大学のウェブサイト)

【MRI支援担当:青木茂樹(順天堂大学)】[2022.06.03]
杉本光 特別研究員(理化学研究所)の論文が Frontiers in Aging Neuroscienceに掲載されました


Sugimoto H., Otake-Matsuura M. Tract-Based Spatial Statistics Analysis of Diffusion Tensor Imaging in Older Adults After the PICMOR Intervention Program: A Pilot Study. Frontiers in Aging Neuroscience 14, (2022) DOI:10.3389/fnagi.2022.867417

<概要>本研究では、DTIデータのTBSS解析により、グループ会話を用いた介入法の効果を反映する白質線維の候補を明らかにすることに成功しました。ABiS・MRI支援(支援担当:青木茂樹・下地啓五・根本清貴/筑波大学)では、MRI解析技術コンサルテーションおよび技術指導による支援を行いました。

【MRI支援担当:青木茂樹(順天堂大学)】[2022.05.10]
辻村啓太 特任講師(名古屋大学)の論文が Frontiers in Neuroscience に掲載されました


発達障害レット症候群モデルの脳構造異常を特定
~広範な発達障害の診断や治療法の開発に貢献~

Akaba Y., Shiohama T., Komaki Y., Seki F., Ortug A., Sawada D., Uchida W., Kamagata K., Shimoji K., Aoki S., Takahashi S., Suzuki T., Natsume J., Takahashi E., Tsujimura K. Comprehensive Volumetric Analysis of Mecp2-Null Mouse Model for Rett Syndrome by T2-Weighted 3D Magnetic Resonance Imaging. Frontiers in Neuroscience 16, (2022) DOI:10.3389/fnins.2022.885335

<概要>本研究では、MeCP2遺伝子を欠損したレット症候群モデルマウス 脳を、最新の磁気共鳴イメージング(MRI)の手法により詳細に解析し、複数の脳領域の体積減少や、左右差の異常を特定することに 成功しました。ABiS・MRI支援(支援担当:青木茂樹・下地啓五)では、初期段階からのMRI解析技術コンサルテーションおよび技術指導による支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(名古屋大学のウェブサイト)

【電子顕微鏡支援:大野伸彦(自治医科大学)】[2022.03.17]
澤本和延 教授(名古屋市立大学・生理学研究所)の論文が Journal of Experimental Medicine に掲載されました


大人の神経細胞を接続する「シナプス」の数を調節するしくみ:名市大医学部生らが発見
-脳疾患の治療法開発への新たな期待-

Kurematsu C., Sawada M., Ohmuraya M., Tanaka M., Kuboyama K., Ogino T., Matsumoto M., Oishi H., Inada H., Ishido Y., Sakakibara Y., Nguyen H.B., Thai T.Q., Kohsaka S., Ohno N., Yamada M.K., Asai M., Sokabe M., Nabekura J., Asano K., Tanaka M., Sawamoto K. Synaptic pruning of murine adult-born neurons by microglia depends on phosphatidylserine. Journal of Experimental Medicine 219, (2022) DOI:10.1084/jem.20202304

<概要>本研究では、成体脳における新生ニューロンの成熟過程において、ミクログリアが過剰なスパインを除去する際に、スパインの表面に露出したフォスファチジルセリンを認識して貪食することを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:古瀬幹夫・大野伸彦)では、SBF-SEMを使用し、ミクログリアによるスパイン貪食の証明に必要なデータ取得に関する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(生理学研究所のウェブサイト) 
プレスリリース プレスリリース(日本医療研究開発機構(AMED)のサイト)
プレスリリース プレスリリース(名古屋市立大学のサイト)

【電子顕微鏡支援:坂本浩隆(岡山大学)】[2022.03.31]
津田誠 教授(九州大学)の論文が Scienceに掲載されました


慢性疼痛からの自然回復に必要な細胞を世界で初めて発見!
~ミクログリア細胞の驚くべき変化~

Kohno K., Shirasaka R., Yoshihara K., Mikuriya S., Tanaka K., Takanami K., Inoue K., Sakamoto H., Ohkawa Y., Masuda T., Tsuda M. A spinal microglia population involved in remitting and relapsing neuropathic pain. Science 376, 86-90 (2022) DOI:10.1126/science.abf6805

<概要>神経が傷つくと、非常に長引く痛み(神経障害性疼痛)を発症します。マウスでも神経損傷後に慢性疼痛を発症するが徐々に痛みが和らいでいきます。しかしその自然回復のメカニズムは不明でした。本研究では、自然回復に必要な細胞(ミクログリア細胞が変化したサブグループ)を世界で初めて発見しました。このミクログリア細胞のサブグループを標的にした、慢性疼痛に有効な新しい鎮痛薬の開発が期待されます。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:坂本浩隆)では、免疫電子顕微鏡を用いた超微形態解析の支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(九州大学のサイト)   

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