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研究内容 |
DNAの塩基配列と構造は、コインの表と裏のように切っても切れない関係にある。したがって、同じ塩基配列をもつDNAが同じ構造をもつことは当然としても、意外なことに、異なった塩基配列をもつDNAが同じような高次構造をとったり、似たような(または全く同じ)機械的特性をもったりする場合がしばしばある。最近になって、DNAのこのような高次構造や特性は遺伝情報の一つ(高次の遺伝情報)となっていて、世代を越えてクロマチンを再現するために機能したり、遺伝子発現を保証するためのクロマチンの構築や維持に寄与したりしていることが明らかになってきた。また、染色体の構築や、遺伝子機能のエピジェネティックな制御にも関与していることが議論されはじめた。我々は、負の超らせんを擬態したベントDNA構造には、転写活性化因子などが標的DNA配列に結合できるように、クロマチンを局所的に制御する機能があることを見出した。また最近、クラスII遺伝子のプロモーターには、共通した特徴的な機械的特性があることを発見した。これらの研究を基礎として、本研究では、ベントDNAの機能が、細胞の分化や個体の発生に伴って変化するか、あるいはこれらの影響を受けない普遍的な機能なのかを明らかにする。また、プロモーターの機械的特性がクロマチンの静態と動態にどのような役割を果たしているかを明らかにする。 |
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大山 隆(研究代表者)
<早稲田大学教育・総合科学学術院・理学科生物学専修・教授> |
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三谷 匡(研究分担者)
<近畿大学先端技術総合研究所・助教授> |