始原生殖細胞（PGC）は、配偶子に分化し、次代の生命を生み出すことができる発生運命を持つ。また、PGC は、性差を有し、卵あるいは精子といった異なる形態および機能を持つ配偶子に分化する。本研究では、このような発生運命および性差の特徴を獲得したPGC が形成される機構を解明することを目的とする。これまでに、ショウジョウバエを用いた研究により、PGC の運命決定に中心的な役割を果たすと考えられる遺伝子として、ovo、mamo が同定されている。これら遺伝子は、PGC 中で細胞自律的に機能する転写制御タンパク質をコードする。そこで、ovo、mamo により制御される下流遺伝子およびそれらが構成する遺伝子ネットワークを解明する。さらに、PGC 中において体細胞分化を抑制する働きを持つ翻訳抑制タンパク質をコードするnanos に関してもその下流遺伝子の同定と機能解析を行う。一方、PGCの雌化に中心的な遺伝子であるSxl の下流遺伝子の同定およびその機能解析も行う。以上のように、当研究室で得られた研究成果を基盤として、PGC の形成機構の解明およびその普遍性を明らかにする新規性の高い研究を展開する。
