始原生殖細胞(Primordial Germ cells: PGCs)はすべての生殖細胞系列の源であり、性分化や減数分裂を介して卵と精子に分化する。我々はこれまでにマウスの多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)からPGCsを作出する体外培養技術を開発した。この培養法では多能性幹細胞から性分化前の機能的なPGCsを体外で多数産生することができる。我々のグループは新学術領域「配偶子産生制御」において、この技術を利用して以下の研究を展開する。
(1) 多能性幹細胞から精原細胞や卵原(卵母)細胞を作出する体外培養技術の開発
(2) PGCsの増殖・性分化に関わる因子の単離と同定
(3) 他の研究班と連携して、PGCsの成立に必須な遺伝子の機能の解明
体外培養での配偶子の産生は質的な制御が最も重要である。上記の研究を介してPGCsの発生から性分化までの過程を深く理解し、それらを体外培養で忠実に再現することにより均一かつ良質な生殖細胞の産生を実現する。本研究の成果は、動物種の産生や保存および不妊治療などの社会的関心の高い問題に貢献する。