イベント情報

ABiSシンポジウム
〜バイオイメージングの未来:モダリティを超えて〜

 

3年ぶりのオンサイトシンポジウムに、全国から119名の研究関係者にご参加いただきました。
大変充実したシンポジウムを開催することができました。ご参加いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。

  集合写真


開催日時    2024年2月19日(月)13:30 ~ 20日(火)12:15
(懇親会:2月19日17:45~)

     
     
開催場所   岡崎コンファレンスセンター(愛知県)   
     
     
   


       シンポジウム参加登録 2月 5日(月)締切【無料】
 
       懇親会参加登録 1月 20日(土)28日(日)締切

 

 

2/18 更新
※2/20 近藤寿人先生 の講演が中止になりました。

 
 インターネットはeduroamの利用が可能です
 発表、並びに発表資料の撮影はご遠慮ください
 要旨集をダウンロードできます (PDF:0.5MB)

   
   

 

 

プログラム

2月19日(月)

 

[13:30-13:35]

開会挨拶

  鍋倉 淳一(生理学研究所)  
   

[13:35-14:05]

支援プラットフォーム説明

  
  鍋倉 淳一(生理学研究所)/真野 昌二(基礎生物学研究所)
  「先端バイオイメージング支援プラットフォームの支援について」
 
  黒川 顕(国立遺伝学研究所)/鈴木 穣(東京大学)
  「先進ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援について」
   

[14:05-16:05]

ゲノム×イメージングから見る生命科学の未来

 座長:上野 直人(基礎生物学研究所)
 
  大川 恭行(九州大学)
  「組織形成を理解するための単一細胞マルチオミクスの開発 」
 
要旨

人体を構成する細胞は200種類以上存在し、それぞれ異なる遺伝子発現様式によって固有の細胞機能を発揮し組織形成する。このような、多彩な細胞それぞれが固有の細胞機能を獲得するために、同一のゲノムから必要な遺伝情報を得る機序が存在すると考えられるが、その実態は未だ明らかとなっていない。このようゲノム機能を明らかにするためには、幹細胞等の生体内で不均一な状態で存在する細胞を単一細胞レベルで包括的に解析し、幹細胞から特定の細胞へと形質変化を理解する技術を開発する必要がある。そこで、我々は、大きく二つの技術の開発に取り組んできた。一つは、単一細胞エピゲノムプロファイリング法であるChromatin Integration Labeling (ChIL)を開発し、高深度なエピゲノム解析を進めている。もう一つは、空間マルチオミクスであり、一つの組織切片から 細胞間情報伝達を 理解する手法など多岐の技術開発に取り組んでいる。現状と今後の可能性について議論したい。

   
  深谷 雄志(東京大学)  
  「ハブの形成を介した転写バースト制御」
 
要旨

遺伝子発現制御において中心的な役割を担うのは、エンハンサーと呼ばれるゲノム中の転写調節領域である。しかし生体内におけるエンハンサー作用機序の理解は、驚くほど進んでいない。我々は、エンハンサーによる転写活性化の素過程を生きたショウジョウバエ初期胚で直接可視化する独自の超解像ライブイメージング解析技術を駆使することで、エンハンサーがループではなく、転写を活性化する「反応場」を動的に形成することで転写バーストを制御していることを解明した。本発表では、こうした最新の研究成果について紹介する。

   
  森下 喜弘(理化学研究所)
  「器官形態形成動態理解のためのライブイメージングと空間トランスクリプトーム解析」
 
要旨

器官発生過程における法則を知りたい。できればそれを数学的に表現できたら嬉しいし、その法則の種間・器官間での普遍性や特異性を議論できたら面白い、というような動機で理論と実験の境界あたりで発生生物学の研究をしている。物理過程として形態形成動態を理解するためには、組織の幾何形状や変形、細胞運動、応力場の間の定量的な関係性を知ることが必須であり、ライブイメージングはそのための基盤情報を提供する。また空間・シングルセルトランスクリプトーム解析技術は、そうした物理量と関連する遺伝子群、発生場の空間表現や領域化、各細胞の遺伝子発現履歴や運命決定過程の解明を可能としようとしている。本講演では、これまでに我々が行ってきたイメージングデータに基づく定量・数理解析研究を紹介し、最近初めている空間トランスクリプトームデータ解析との接点について考えていることを議論したい。

   

[16:05-16:25] 休憩

   

[16:25-17:25]

特別講演

 座長:亀井 保博(基礎生物学研究所)
 
  永井 健治(大阪大学)
  「トランススケールスコープが拓く生命科学研究の新たな潮流」
 
要旨

従来の科学的アプローチは、観察対象を構成する主要成分に着眼し、測定された値の中で他のデータとかけ離れている外れ値を解析対象から除外するのが一般的であった。それ故、外れ値的特徴量を有する希少成分に関する知見はほとんど蓄積されてこなかった。そこで、これまで看過されてきた希少成分(特に細胞)に着眼することを目的とし、多細胞システムのマクロ動態とシステムを構成する個々の細胞のミクロの動態を同時観察可能なトランススケールスコープを開発した。これにより100万個の多細胞の中で、0.1%以下しか存在しないユニークな細胞やイベントの検出が可能となった。本シンポジウムでは、トランススケールスコープの装置概要と観察・解析例を紹介し、生命科学研究における新たな科学的思考基盤を概説する。

   
 

[17:25-17:30]

事務連絡

   

[17:45-19:30] 懇親会

   

2月20日(火)


[09:00-10:30]

画像取得から画像解析を経て生命現象の新しい理解へ

 座長:藤森 俊彦(基礎生物学研究所)
 
  杉原 圭(九州大学)
  「上皮細胞境界の湾曲ダイナミクスとその形成機構」
 
要旨

上皮細胞境界は一般に直線状であるが、腎尿細管の一部などでは湾曲した形態をとることが知られている。我々はMDCK細胞をin vitroモデルとして、数理モデリング・画像解析技術・細胞生物学的実験を組み合わせた融合的手法により、ミオシンのパンクタ構造により確率的に生み出される力と細胞境界に働く表面張力のバランスによって湾曲構造が動的に形成されている可能性を明らかにした。本講演ではこの研究内容を紹介しながら、生体内での動的な湾曲構造形成を捉えるべく本支援を受けて挑戦したex vivoマウス腎尿細管タイムラプスイメージングの試みについてお話ししたい。

   
  ※cancelled
近藤 寿人(生命誌研究館)
  「エピブラスト細胞の長距離移動によって胚の脳が形成される過程を、広視野・長時間のライブイメージングで明らかにする」
 
要旨

脳形成の初期過程を研究していた私たちは、ニワトリ初期胚(長径3mm、短径2mm)を用いた研究から、エピブラストの長距離の細胞移動に依存した動的な過程であることに気づき、それを解析した。まず、エピブラストの細胞を離散的にEGFPで標識(Supernova法)、またノードや前部中内胚葉をmCherryトランスジェニックウズラ由来組織の移植によって標識した。そして、平板状のエピブラストから脳の基本構造が出来上がる18時間の過程での、個々の細胞の時々刻々の変化を追跡し、古典的なモデルを根本から覆す、脳形成の新しい機構を明らかにすることができた。細胞の追跡に当たってABiSの加藤輝博士のご支援を得た。

   
  田畑 秀典(愛知県医療療育総合センター)
  「マウス胎仔におけるアストロサイト前駆細胞の移動様式の解明」
 
要旨

アストロサイトは成体脳の生理機能に重要であるだけでなく、脳発達過程においてはシナプス形成や血液脳関門の発生に必須の役割を果たす。しかしながらアストロサイトが脳内でどのように移動し配置するかはほとんど知られていなかった。我々はマウス胎仔脳のスライス培養において、アストロサイト前駆細胞が頻繁に移動方向を変化させながら移動する不軌道性移動と、血管に沿って移動する血管ガイド移動により脳表層側へと向かうことを見出した。しかしこれらが実際の脳発生過程で使われているかは不明であった。そこでABiSの支援の元、二光子レーザー顕微鏡を用いて、生きたマウス胎仔の脳でアストロサイト前駆細胞の移動を観察したので報告する。

   
   

[10:30-10:40] 休憩

   

[10:40-12:10]

光電子相関顕微鏡法が拓く微細構造研究の最先端

 座長:大野 伸彦(生理学研究所)
 
  甲賀 大輔(旭川医科大学)  
  「CLSEM法(Correlative light and scanning electron microscopy)の新展開 」
 
要旨

光・電子相関顕微鏡観察法(CLEM法)は、蛍光標識された分子の局在を電顕レベルの解像度で観察できる魅力的なイメージング技法である。近年私たちは、オスミウム浸軟法[ミトコンドリアや小胞体、ゴルジ装置などの膜性オルガネラを、再構築することなく直接SEM(走査電子顕微鏡)観察できる手法]と徳安法(凍結超薄切片法)を組み合わせた独創的なCLEM法の開発に成功している。この手法を用いることで、多種類の細胞が混在する複雑な組織中から特定の細胞を同定した上で、機能分子の局在もオスミウム浸軟像と相関させることができる。ここでは、私たちが実践している様々なCLEM法とその応用を紹介する。

   
  齊藤 知恵子(東京大学)

 
  「光-電子相関顕微鏡法で観るオートファジー」
 
要旨

オートファゴソームは、細胞内のさまざまな場所で複雑な膜変形を伴いながら形成されます。隔離膜が基質を取り込み、オートファゴソームとなり、オートリソソームとして成熟していく、これらの局面を逃さず捉え、微細構造情報とともに三次元的に把握するために、JST ERATO 水島プロジェクトでは、アレイトモグラフィーを用いた広域三次元光-電子相関顕微鏡法を確立してきた。この方法は、25-50nm の連続切片から得られるデータで、培養細胞全体をカバーでき、SEMを使用する他の手法と比較して、マシンタイムや解析時間が短く、倍率を変えて再撮影が可能なことが特徴である。オートファジーや細胞内分解経路に限らず、他の細胞内現象の解析にも広く応用可能である。本発表では、接着性培養細胞を使用したオートファゴソームの解析など、これまでの応用例を紹介し、方法の課題、解決の方向性、将来の展望についても議論したい。

   
  林 周一(川崎医科大学)
  「SBF-SEMを用いた光電子相関顕微鏡法:シナプス発生の微細形態解析への適用」
 
要旨

これまでに多様な光電子相関顕微鏡法が開発されており、神経組織の解析では、免疫染色やペルオキダーゼ発現ベクターによる標的構造のラベル、近赤外レーザー照射による標的周囲の刻印などが用いられてきた。しかし、弱い固定や膜透過処理による組織形態の劣化、特殊なマウスやウイルス、装置が必要というような課題もあった。そこで我々は、脳スライス内で蛍光標識されたシナプス終末のSBF-SEM観察を行う際に、周囲の血管や細胞体という内在性のマーカーを目印にして、免疫染色を行わずに相関をとる手法を用いた。本講演では、この手法の流れと適用例として、視床と海馬のシナプス終末構造の解析結果について紹介する。

   
 

[12:10-12:15]

国際連携活動について

  上野 直人(基礎生物学研究所)  
   
 

[12:15-12:20]

閉会挨拶

  阿形 清和(基礎生物学研究所)  
   
   

   
主 催 学術変革領域研究(学術研究支援基盤形成)先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)

共 催 自然科学研究機構 生理学研究所
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
自然科学研究機構 生命創成探究センター

協力 学術変革領域研究(学術研究支援基盤形成)先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム(PAGS)

 

お問い合わせ先 ABiS事務局
  abis-office@nips.ac.jp
 

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