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研究内容 |
核の内と外は単に脂質膜構造によって仕切られているだけではなく、核膜孔複合体のトポロジー、ラミンネットワーク、染色体、Ran-GTP/GDPの濃度勾配、核移行・核外移行などによってもたらされる複雑かつ動的な非対称構造を持つ。申請者はこの複雑なトポロジー形成機構を理解するため、新たな実験系としてアフリカツメガエル卵母細胞単離卵核を用いた解析系の確立を試みる。卵核は核-細胞質間の物質輸送能など体細胞核の性質を保持している一方で、その直径は約0.3 mmと巨大なため、染色体は"Lampbrush chromosomes"の状態で核内に散在し核内膜との結合がないという特殊性を持つ。また卵核をオイル中で単離することにより、細胞質との間の物質輸送を遮断した状態で解析できる。単離卵核は透明で内部の観察も容易であり、定量的マイクロインジェクションなどを行うことが可能である。本研究ではこの特殊性を利用し、卵母細胞単離卵核を細胞内におけるin vivo環境と精製分子によるin vitro環境の中間に位置する新たな実験系として用い細胞核の機能を探る。本研究はin vivo及びin vitroで得られた研究成果の有機的な橋渡しとなるのみならず、これまで見出すことのできなかった革新的な知見を与えることが期待される。 |
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土屋 勇一(研究代表者)
<東邦大学医学部生化学教室・助手> |