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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」細胞核ダイナミクス
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染色体テリトリーと核タンパク質の同時可視化の開発に関する研究
しきり線
 
研究内容
 細胞核における染色体は高度に区画化された「染色体テリトリー」を持ち、ヒトを中心とした哺乳類各種における知見から、染色体サイズや遺伝子密度に相関して、その放射状核内配置が規定されているものと考えられている。すなわち、遺伝子密度の高い染色体は核の中心付近に局在し、遺伝子密度の低い染色体は核膜周辺部に位置している。しかしながら、なぜこのようなトポロジーが制御されているのかは不明であり、特に染色体テリトリーと核タンパク質との相互作用に関しては、ほとんど調べられていない。本研究では、染色体テリトリーと各種核タンパク質を同時可視化することにより、細胞周期ごとの挙動を観察し、その相互作用や結合様式を詳細に調べ、染色体テリトリーの3次元核内配置がどのように制御されているのか、関連する核タンパク質との関わりを明らかにする。具体的には、いくつかの核タンパク質(HP1、核小体、核膜関連タンパク質など)に焦点を当て、これらを免疫抗体法で予め蛍光検出し、引き続き特定の染色体テリトリーを3D-FISH法により蛍光検出して、核タンパク質と染色体テリトリーの同時可視化を試みる。また、ヒストンH2B-EGFPを発現させた細胞株を作成し、フォトブリーチング法を組み合わせた生細胞蛍光観察法を適用して、G2期から分裂前中期、G1期に移行する過程での特定染色体の動態を詳細に観察し、核膜再構築時における染色体テリトリーの核内配置とそのトポロジー制御のメカニズムの解明を目指す。
 本研究は、染色体テリトリーの3次元核内配置という新しい視点から、従来から蓄積されている核タンパク質の情報を基盤データとして取り入れ、それらを組み合わせて統合することにより、核高次構造全体を考慮したアプローチ、すなわち、「3次元核内環境」という新しい観点から細胞核ダイナミクスについて考察する。また、DNA(染色体)レベルとタンパク質レベルのデータを統合し、それらを同時可視化するという独創的な方法をとっており、特に核小体や核膜構造と染色体との結合様式について未知な部分が明らかにされる可能性が大きい。さらに、生細胞蛍光観察法により、染色体トポロジーの制御機構が解明できる可能性がある。
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田辺 秀之(研究代表者)
<総合研究大学院大学・先導科学研究科・生命体科学専攻・助教授>
         
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