ヒトの場合1m以上の長さに及ぶDNAは、直径5~10ミクロンの細胞核にコンパクトに収納されている(図左上)。真核生物におけるDNA収納の最小単位は直径11ナノメートルのヌクレオソーム構造であり、146-147塩基対がコアヒストン分子八量体の周りを2重に取り巻いている(図右下)。そのため、転写、複製、修復などのDNAを鋳型または基質とした反応は全てこのヌクレオソーム構造と対峙しなければならない。また、細胞核内では、ヌクレオソームはリンカーヒストンH1を含んだクロマトソーム構造、さらにより高次なレベルのクロマチン構造を構築しており、転写や複製などの核機能を理解するためには、クロマチン構造構築の基本原理とその制御機構を明らかにする必要がある。本研究では、生細胞におけるクロマチンやヒストンの動態を解析すると同時に、生細胞で見られる現象を膜透過化細胞およびアフリカツメガエル卵抽出液を用いた再構成系において再現することで、高次クロマチン構造の構築とダイナミクスを制御する因子の同定とその分子作用機序を明らかにすることを目的とする。
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