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卵巣分化におけるエストロゲンの働き

ほとんどの脊椎動物において雌雄の二型がみられます。性的な成熟には生殖腺から分泌される性ステロイドホルモンが必須です。すなわち精巣からのテストステロンにより雄の表現型が、卵巣からのエストロゲンにより雌の表現型が形成させます。
メダカはXX-XY型の性決定様式であり性染色体によって遺伝的に性が決まります。しかし、メダカを含めた硬骨魚類では外部からエサなどとともにエストロゲンを投与することにより遺伝的雄(XY)個体を雌に性転換させることができます。逆に、エストロゲン合成を阻害する薬剤を投与すると雌が雄に性転換します。これらのことから、一般的に硬骨魚類では卵巣分化においてエストロゲンが重要な働きをしていると考えられています。
エストロゲンは材料であるコレステロールから数種類のステロイド代謝酵素により順次代謝され産生されます。エストロゲン合成の最終段階を触媒するステロイド代謝酵素をアロマターゼといいます。本研究ではアロマターゼの機能欠損変異メダカの表現型の解析をおこなっています。この変異メダカではアロマターゼの活性が無いため卵巣中のエストロゲン量がまったくないか、大幅に減少していることが予想されます。したがってアロマターゼ機能欠損変異メダカを解析することにより、初期卵巣分化過程および卵巣から精巣への性転換において、エストロゲンがどのような働きをしているのかを明らかにすることができます。