細胞を解体して行う試験管内の実験から,ステート遷移の理解は分子レベルで進んでいますが,細胞内でステート遷移が実際にどう進行するかについては,よくわかっていませんでした.今回私たちは,FLIM(蛍光寿命イメージング顕微鏡法)と呼ばれる新しい技術を用い,世界で初めて生きた細胞の中で“ステート遷移”が起きている様子を可視化することに成功しました.そしてその結果,光化学系IIからはずれ,光化学系Iへ移動中の集光アンテナは,エネルギー・クエンチング状態(エネルギーの自己消去)にあるという驚くべき性質を示すことが明らかになりました.
この論文は,PNAS誌の"Most interesting research articles"に選ばれました.
David Kramer博士(ワシントン州立大)によるCommentary(解説記事)が発表されています.