第20回 配偶子制御セミナー

ハダカデバネズミ:社会性制御機構、癌、老化研究のための新しいモデル動物

講師  三浦 恭子 先生
所属  慶應義塾大学医学部
日時  平成23年1月19日(水)15:00-
場所  自然科学研究機構 山手3号館2階共通セミナー室

講演の内容
 ハダカデバネズミ(naked mole rat, Heterocephalus glaber) は、アリやハチに類似した分業制(Queen, King:繁殖、Soldier: 巣の防衛、Worker: 巣の拡張、餌収集、子育て等)からなるカースト社会をもつ。興味深いことに、ハダカデバネズミのカースト決定は後成的であり、成体において一旦決定されたカーストは転換され得る。このカースト変化、即ち社会行動変化が起こる際には、成体脳において神経新生や神経回路の再編成等が生じることが予想されるが、詳細は不明である。われわれは現在、社会行動を制御する成体脳神経可塑性の分子基盤の解明のため、ハダカデバネズミを簡易版社会モデルとして起用し、解析を開始している。
 ハダカデバネズミは体長10cmほどであるが、げっ歯類に異例の長寿命(平均28年)、超癌化耐性(長寿命にもかかわらず、自発的な腫瘍発生がみられない)という非常に興味深い特徴も併せ持つ。これらの特性から、ハダカデバネズミは癌研究・老化研究の新規モデルとしても非常に有用であると考えられる。将来的に、新規抗老化因子、新規抗癌化因子の同定が見込まれる。
 我々は現在、上記の脳神経研究・老化・癌研究のために、日本で初の、ハダカデバネズミを用いた分子生物学的研究体制を立ち上げている。本セミナーでは、ハダカデバネズミの紹介を中心に、現在の研究の進展を報告する。

問い合わせ ;
基礎生物学研究所生殖細胞研究部門
吉田松生 (shosei@nibb.ac.jp)
℡:0564-59-5865

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