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JSDB-GFE Joint meeting of Developmental Biology に参加して

開催期間:平成23年3月23日 - 26日
開催場所:Dresden University of Technology, Germany

慶應義塾大学 医学部 総合医科学研究センター
特任助教 前澤孝信

 平成23年3月23日- 26日の4日間、ドイツのドレスデン工科大学で開催されましたJSDB-GFE Joint meeting of Developmental Biologyに、新学術領域「配偶子幹細胞制御機構」のご支援をいただき、参加させて頂きました。
 JSDB-GFE Joint meeting of Developmental Biologyは、日本発生生物学会(JSDB)が、若手研究者に国際発表の機会を与えるべく、ドイツの発生生物学会(GFE)とともに、新たに企画した大会です。私は今回が初めての国際学会での発表となりました。この大会に参加し、海外の研究者に触れ合う事で自分自身の研究者としての成長へとつながるいい経験をさせて頂きました。開催直前に起こりました東日本大震災の影響も懸念される中、大会開催へとご尽力頂いた学会関係者の方々に深く感謝いたします。
 ドレスデンは、ドイツの東の端、ポーランドとの国境付近に位置します。歴史的な建造物が多く文化豊かな町でした。大学は、町の中心から近くにあり、このような文化的な環境は大いに想像力のかき立て、研究するには良い環境だと感じました。
 学会は口頭発表とポスター発表の二部構成でした。私は2日目の午後に2時間のポスター発表を行いました。初めての英語の発表で緊張しましたが、内容の説明、質疑応答と何とかコミュニケーションを取れたのではないかと思います。今回、私はプラナリアの生殖転換に関わる酵素を発見したことに説明しました。プラナリアの生殖細胞研究で有名なP. Newmark博士 (University of Illinois) とディスカッションできたのは有意義でした。近い研究をしている人から、付け加えるべき実験を指摘してもらえたのは良かったです。論文にまとめる際の方向性が明確になりました。また、彼の進行中の研究についても伺え、プラナリアの生殖細胞のメカニズムについて考察するヒントをいち早く得られたのも良かったです。また、プラナリアと同じ扁形動物のマクロストマムを研究しているP. Ladurner博士(University of Innsbruck)も聞きに来てくれました。彼は、最近マクロストマムでトランスジェニック個体の作製に成功しています。我々は、プラナリアで、トランスジェニック個体の作製を目指しているので、彼の技術を伺えたのは重要でした。他にも様々な方に聞きに来て頂きましたが、総じて、研究に対し好評価をもらいました。自分の研究に自信が持てたことは良かったです。
 今回は、新学術領域「配偶子幹細胞制御機構」の内容及び国際シンポジウムの宣伝も兼ねていました。小林一也先生がポスター発表で宣伝を行いました。ポスターの反響が大きく、私も宣伝を手伝わせてもらいました。ショウジョウバエで生殖幹細胞のニッチの場を研究しているC.Bokel博士(Dresden University of Technology)、線虫の配偶子形成で機能する核内ホルモン受容体の研究をしているX.Gracida博士(MPI-CBG)という非常に近い研究をされている方々と深くディカッション行うことができました。彼らとは、その後メールにより、お互いの研究について情報交換も行っています。宣伝によっていい研究協力関係がうまれたと思います。
 また、この学会では、学会長の阿形先生(京都大学)をはじめ、扁形動物の研究者が多く参加していました。2日目の夜には、阿形先生の号令のもと、扁形動物の研究者を集め、夕食会が開かれました。扁形動物の研究を盛り上げようという決起集会のような感じでした。プラナリアは、その再生能力で有名な動物ですが、研究人口は意外と少なく、世界でも数えるほどしかいません。研究者同士でコミュニケーションを取り、協力体制をとるためのいい機会になったと思います。
 今回の学会参加は、自分の研究の発展のみならず、新学術領域「配偶子幹細胞制御機構」の発展、プラナリア研究の発展にも有意義なものであったと思います。学会参加にご支援いただいた新学術領域「配偶子幹細胞制御機構」に深く感謝いたします。


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