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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」細胞核ダイナミクス
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研究概要
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細胞核とは

  細胞核(以降、核と呼ぶ)は、核膜という特殊な膜構造で仕切られたオルガネラである。核には、いくつかの点で、他のオルガネラには無い構造上の特徴がある。その一つは、内部にゲノムDNAという化学的に単一で物理的に長大な超分子が存在する点である。ヒト細胞の場合、容量わずか50ピコリットルの核に約2メートルものDNAが収納されていることになる。細胞周期ではその長大なDNA分子の正確な複製・分配が、また転写制御では適切な遺伝子の選択的な転写が起こる必要がある。この事実は、ゲノム機能の維持・発現のために、核内には高度に秩序ある構造が必要であることを想像させる。2つ目の特徴は、巨大なオルガネラであるために、内部に仕切りとなる膜構造がなく、タンパク質やRNAなどの分子が容易に離合・集散できる「空間」になっている点である。実際、核小体を始めとした多数の機能的集合体(核スペックル、カハールボディ、PML (promyelocytic leukemia oncoprotein) ボディなど各種の核ボディ:図1参照)が存在しており、状況に応じてその構造や機能がダイナミックに変化する。このような機能的集合体は、その機能や大きさによって「核内コンパートメント」とか「核内ドメイン」と呼ばれる。3つめの特徴は、細胞質との仕切りとして存在する核膜構造である。核膜は内膜と外膜の2枚の脂質二重層膜から成り、その間を繋ぐように核膜孔タンパク質複合体が存在し、核−細胞質間物質輸送を双方向に調節している。また、動物細胞の核膜内膜には核膜に特徴的なタンパク質群と核ラミナと呼ばれるメッシュ状の構造が存在し、染色体機能の構造的な足場となっている。このように核膜孔を含む核膜は、構造構築と物質移動の両側面からゲノム機能を支えている。
図1.生命機能の基盤となる細胞核構造
         
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