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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」細胞核ダイナミクス
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クロモキネシンKidによる分裂後期の染色体動態と娘細胞核形成の制御機構
しきり線
東京大学医科学研究所 大杉美穂 平成17−18年度
 

 Kidは染色体腕の中期板整列や、中期紡錘体長の維持を担うことが明らかにされているモーター分子である。本研究期ではそれまで未知であった分裂後期以降のKidの役割の解明を目指した。分裂後期のKidは隣り合う染色体の間隙に集積し、核膜形成後までそこに留まっていた。また、Kid発現抑制HeLa細胞では隣接する染色体の間に隙間が残ったまま核膜再形成が起こり、娘細胞核形態異常が高頻度に生じることを見いだした。更に、Kid欠損(Kid-/-)マウスは予想される約半数が胎生3.5日までに致死となるが、生誕したKid-/-マウスは外見上正常な生育を示し、生殖が可能であった。そこで、卵割期Kid-/-胚を観察したところ、分裂後期/終期の染色体のまとまりが悪く、その結果、一部の染色体の周囲に個別の核膜が形成される様子が観察された。以上の結果から、Kidは分裂後期/終期の染色体一塊化を担っており、その働きは特に卵割初期の分裂において重要であることが示唆された。以上の結果は研究期間後に得られた結果とともにCell 132, 771-782, (2008)に報告した。

図

 

発表論文リスト:

  1. Oshimori N, Ohsugi M, and *Yamamoto T.: The Plk1 target Kizuna stabilizes mitotic centrosomes to ensure spindle bipolarity. Nat Cell Biol, 8:1095-1101, 2006.
  2. Abe Y, Ohsugi M, Haraguchi K, Fujimoto J, and *Yamamoto T.: LATS2-Ajuba complex regulates gamma-tubulin recruitment to centrosomes and spindle organization during mitosis. FEBS Lett, 580:782-788, 2006.
  3. Tokai-Nishizumi N, Ohsugi M, Suzuki E, and *Yamamoto T.: The chromokinesin Kid is required for maintenance of proper metaphase spindle size. Mol Biol Cell, 16:5455-5463, 2005.
         
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