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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」細胞核ダイナミクス
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X染色体不活性化センターにおけるアンチセンス制御機構
しきり線
国立遺伝学研究所 佐渡 敬 平成17−18年度
 
 私たちはX染色体不活性化の鍵遺伝子Xistの発現がそのアンチセンス非コード遺伝子Tsixを介したエピジェネティックな修飾によって負の制御をシスに受けることを明らかにしてきた.本研究ではTsixがその機能を発揮する上で,Tsixによるアンチセンス転写がXistプロモーター領域に達することが重要なのか解析した.そのために,ポリAシグナルを挿入することでアンチセンス転写を強制的に終結させることを意図したTsixpAアリルを作製し,マウスに導入した.マウス胚においても,期待通りTsixの転写が途中で終結していることを確認した後, Xistの発現を調べた結果,TsixpAアリルをもつ胚では,Tsixの機能阻害を行った場合同様,改変X染色体からXistが異所的に発現されることがわかった. 一方,これと並行して作製したTsixpAアリルとよく似た構造を持つもののポリA付加シグナルを欠くためTsixによるアンチセンス転写は中断されないアリル(XistIVS)を持つ胚では,そのようなXistの異所的な発現は認められなかった.さらに,これらの改変X染色体上のXist遺伝子プロモーター領域のクロマチン修飾について詳細に調べた結果,Tsixの転写が中断されたTsixpAアリルを持つ場合にのみ,CpG配列のメチル化やヒストン修飾が正しく構築されないことがわかった.これらの結果は,Tsixによるアンチセンス制御においては,Xistプロモーター領域がアンチセンス方向に転写されることが不可欠であることを強く示唆する.また,TsixpAアリルの影響を胚体組織と胚体外組織で比較したところ,後者はより顕著な影響を受けていることもわかった.これは,胚体組織がTsix非依存なXist発現制御機構も持ち合わせているのに対し,胚体外組織はもっぱらTsixに依存しているとする,我々の従来の報告とも一致する.

図1

 

発表論文リスト:

  1. Ohhata, T., Hoki, Y., Sasaki, H., and Sado, T. (2008). Crucial role of antisense transcription across the Xist promoter in Tsix-mediated Xist chromatin modification. Development135, 227-235.
         
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