分裂酵母セントロメアの反復DNA配列の中から異所的なヘテロクロマチン誘導能力を持つDNA配列を抽出した。分裂酵母のヘテロクロマチン形成にはsiRNA産生機構の関与が知られているが、異所的ヘテロクロマチン形成におけるsiRNA産生と転写反応の作用機序を明らかにした。また異所的な転写によって誘導されるsiRNAのトランスな働きと寄与を明らかにした。さらにはDNA配列に依存しない異所的なセントロメア形成機構についても解析を加え、そのようなトランスな作用ではヘテロクロマチン形成とsiRNA産生反応が染色体運命決定に重要な働きを果たしていることを明らかにした。

発表論文リスト：

1. Saitoh, S., Ishii, K., Kobayashi, Y. and Takahashi, K. Spindle checkpoint signaling requires the Mis6 kinetochore subcomplex, which interacts with Mad2 and mitotic spindles. Mol. Biol. Cell., 16: 3666-3677 (2005).
2. Ishii, K., Ogiyama, Y., Chikashige, Y., Soejima, S., Masuda, F., Kakuma, T., Hiraoka, Y. and Takahashi, K. Heterochromatin integrity affects chromosome reorganization after centromere dysfunction. Science,321: 1088-1091 (2008)