![]() The 55th NIBB Conference
Frontiers of Plant Science in the 21st CenturyConference Review |
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Comment◆ 西條 雄介(Max Planck Inst., Germany)
第55回NIBBミーティング シロイヌナズナ・ワークショップに参加して
まず初めに会合の企画・運営に当たられた主宰の先生方やスタッフの皆様に感謝致します。私自身は 日本において英語で行われる学術会議への参加したのは今回が初めてでした。全体としての感想は、正直言いまして、当初の予想以上にすばらしい会合であり個人としての実りも多く、また研究面のみならず国際的な会議の運営面においても日本の(基礎生物学研究所の)実力に改めて感服しました。 ただ僭越ながらも、以下にいくつか気づいた点を報告させて頂きます。今後のさらなる発展に少しでもお役に立てるようであれば幸いです。 1)海外からの招待参加者へのサポートについて 渡航費のサポートが全額認可されるのは、今回の会合も含めて日本滞在が1週間以内という条件でした。欧州からの参加の場合、会議の開催期間に加えて入国出国ともに1日ずつ余分に要します。これではあと2日しか日本に滞在できない計算になり、会合以外にいくつかの研究室を訪問してさらに日本国内の研究者との交流をはかることは事実上非常に困難です。 国内と海外の研究者間の交流を推進するという国際会議の趣旨に逆行する制度だと言わざるを得ません。加えて、経費上、渡航費(航空券の料金)は例えば1週間有効でも2週間有効でもふつう大差がないことからも、すぐにでも改善すべき点であると思います。 2)海外からの参加者の募集について 本会合での研究発表のレベルや運営に当たられたスタッフの英語力から評価して、かなり高いレベルの国際会議であるという印象を覚えました。今回は私の知る限り海外からの参加者は招待参加者のみのように見受けましたが、今後は門戸を海外にも開いて一般参加者を募っても良いのではないかと考えます。いっしょに海外から招待参加させて頂いた特に若手の参加者は、他の国際会議と比べても本会合について非常に満足している様子でした。研究上の交流のみならず日本を知ってもらうという観点からも今回のような国際会議を今後行う際に、海外からもオープン参加という形での開催を積極的に推進されてはいかがでしょうか。 3)会合日程について 本会合は土曜日から日曜日をはさんで祝日の月曜日までという日程で行われました。そのためかどうかを実証する術はありませんが、私と同世代の若手・中堅研究者の参加率が良くなかったという印象です。実際に知人の間からは、本会合に非常に興味を持ちながらも子どものいる家庭との兼ね合いでこの日程では参加は不可能であったという感想を耳にしました。今後、再考して頂けたらと願います。 4)パネルディスカッションについて 非常にユニークな試みで、試み自体は非常に評価しています。ただ、パネラーの学生の方の問題提起は悪くなかったのですが、その後の討論ではむしろ経験に富む国内外の招待講演者の意見をもっと聞ける形式の方が良かったかなと思います。例えば、国内外の招待講演者をパネラーとして壇上に上げて、司会から問題提起して議論してもらい、会場の参加者からもコメントや質問を取るという形ではどうでしょうか? 今回の形式では問題提起を行った学生の方が多くコメントせざるを得ず、彼ら自身が必ずしも意見を持っていない上に(もちろんだからこそ問題提起している訳ですが)英語力が議論をスムースに行えるほどは高くはなく、英会話のトレーニングのようになっている場面も見られました。実際、日本人の若手の参加者は会議を通して積極的に質疑応答していましたし、彼らを壇上ではなくむしろ質問するサイドに置いても充分実りある議論が期待できたと思います。またどういう過程で議論の題材が決められたのか私には不明でしたが、議題を広く一般参加者からも募ってもよかったかもしれません。個人的には若手研究者のキャリア形成について国内外の研究者の抱える実情や希望をいろいろ議論する場があっても興味深いのではないかと感じました。 |
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