![]() The 55th NIBB Conference
Frontiers of Plant Science in the 21st CenturyConference Review |
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Comment◆ 伊藤 寿朗(テマセック生命科学研究所)
第55回NIBB Conference および Arabidopsis Meeting 2008は“Frontiers of Plant Sciences in the 21st Century”というタイトルで行われ、 非常に有意義で印象に残る会議であった。
まず、ユニークだった点は大学院生たちによるパネルディスカッションで、サイエンスだけではなく、研究のあり方、情報の扱い、社会貢献などが論じられたことである。21世紀のサイエンスをになう若者たちが、これからの植物科学研究の課題となるべきこと、研究における競合と調和、植物科学の環境・食糧問題への貢献などについて問題提起を行った。3時間におよぶ議論の中で、会場にいた数百人の研究者たちが、サイエンスのあり方を改めて見つめ直す機会を持てたことは大変意義深く感じられた。このような議論に必ずしも一つの正解があるわけではないと思う。しかしその中でも、若い研究者には、成果・応用を第一に求めるよりも、「生物学への興味を一番大切にして、みずからの研究に誇りと自信を持て!」という意見は会場より何度も発せられ、私自身も強く同感した。 会議のプログラムは朝の開始時刻、夕方の終了時刻ともに比較的ゆったりとしていたため、一日の終わりには疲れ果ててしまうということがなく非常に好感が持てた。外国人講演者は40分、日本人講演者30分、海外大学院生およびポスターから選別された口演発表者は15分の持ち時間でトークをした。ただ40分間の海外講演者のトークの中には間延びしてしまい、30分で話してもらったほうがよいと感じられる講演もあった。主要な講演を45分のKeynote lectureとして、それ以外の講演はすべて30分間としたほうが良かったかもしれない。そうすれば、1対1でディスカッションのできるポスターセッションやコーヒーブレイクの時間をもう少し長く取る事が出来たであろう。また細かな事であるが、議事の進行はタイムテーブルから遅れがちであった。主な原因はトークが時間内で終わらないことである。私がセッションチェアをさせてもらった時には、たとえ数分遅れようともなるべく有意義で充分な議論をしてもらおうと持ち時間を越えていても、質問を受け付けた。シンポジウムでの時間の遅れは常ではあるが、大規模な国際会議の場合には演者にトークと質疑応答の時間配分を事前に周知徹底しておき、各セッションチェアに時間厳守してもらうことが必要となるであろう。 3日間におよぶ21世紀の植物科学を問う本コンフェレンスは非常に有意義で、参加者として大変心地のよい会議であった。ご尽力をつくされたオーガナイザーの皆様に改めて感謝したい。 |
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