《 基礎生物学研究所要覧 》

研究体制の概要

 各研究部門における研究


 基礎生物学研究所は3つの研究系に分かれた13の研究部門(うち6は客員研究部門)及び形質統御実験施設の4つの研究部門および平成13年度に設置が認められた情報生物学研究センターを主体に成り立っている。昨年度から岡崎国立共同機構全体の共通 研究施設として,統合バイオサイエンスセンターの設置が認められたが,その中の時系列生命現象(発生・分化・再生)ならびに生命環境の研究領域には,基礎生物学研究所と密接な関連をもついくつかの分野がある。研究系は,細胞生物学,発生生物学,制御機構の3つであるが,形質統御実験施設等を含めこれらを厳密に区分することは学問上困難であり,事実相互の関連は連続的なものである。各部門は研究単位 であり,いわば研究の現場であるが,それらの研究活動の実績と現状は「研究活動」の項に述べてある。設立後20余年を経た現在,部門の名称と研究活動の内容は必ずしも一致しない。当研究所の目的は,生物現象の営みの基礎となる諸現象について,主として真核生物を対象として,それらの物質的な基盤とその作用機構を追求することにある。しかし,一口に基礎的な現象といっても細胞の増殖や分化,生物の形の成り立ち,環境の変化や,外界の刺激に対する生物の反応など実に多様である。また,この一つ一つの現象を追求するためには,それらにふさわしい実験システムや研究材料が選ばれなければならない。各部門においては,その取り扱う現象に応じて具体的なプロジェクトを立案し,教授のリーダーシップの下で研究を強力に推進している。

 しかしながら,ヒトゲノムの解読をみられるような昨今の新しい展開に伴って,生物学はいわば新しい統合時代を迎えつつあるといえる。例えば,形質転換生物の利用やDNA・タンパク質のデータベースの活用などによって,それぞれの取り扱う現象,実験システムの違いにもかかわらず,アプローチの仕方には共通 点が多いのが現状である。また遺伝子のシーケンスから,遺伝子産物の働き,さらにはそれらの統合としての生物現象の理解へと道が拓かれつつある。このような状況のもとにおいても,生物学に新しい視点を加える発見や理解の方法の創造においては,従来と変わるところのない研究姿勢を堅持しながら,新しい生物学の樹立に貢献しつつある。

 

 共同研究等


 国・公・私立を問わない大学の共同利用機関として,基礎生物学及びその関連分野で次の4つのカテゴリーの共同利用研究を実施している。

グループ共同研究・個別共同研究

 研究所の教授又は助教授と共同して行う共同事業で,グループ間で行うグループ共同研究と各研究者個人間で行う個別共同研究がある。

研究会

 基礎生物学及びその関連分野での緊急かつ重要なプロジェクトについて現状分析を行うと共に,将来の具体的研究計画を討議し,研究推進のための国内及び国際的研究体制確立に寄与する。

共同利用実験

 研究所の大型スペクトログラフ,形質統御実験施設,環境耐性植物実験室を用いる特定実験計画に基づく実験・研究であり,大型スペクトログラフは昭和56年度から開始し,形質統御実験施設は平成2年度から試行し,平成7年度から本格的に実施している。また平成7年度からは環境耐性植物共同利用実験が実施されている。

施設利用

 研究所の施設は個別に利用できる。
 分析室については,平成8年度からその有する機器をより有効に活用するため,公募によっても利用の申し込みを受け付けている。

 上記の共同研究(グループ共同研究,個別共同研究)及び研究会並びに,共同利用実験,施設利用は年1回,研究課題を公募している。


 基礎生物学研究所コンファレンス


 基礎生物学研究所では平成9年度まで特定研究経費により,国際研究集会として「基礎生物学研究所コンファレンス」を毎年開催して40回に及んだ。しかし特定研究が平成9年度限りで打切られたため,平成10年度からは国際シンポジウム(COE)及びリーダーシップ支援経費を活用して,年2回の「基礎生物学研究所コンファレンス」を続けていくこととなった。すでにこの線に沿って7回のコンファレンスが国内外多数の研究者の参加を得て行われている。

 

 総合研究大学院大学


 基礎生物学研究所は,総合研究大学院大学に参加し,同大学と緊密な連係・協力の下に,国立遺伝学研究所及び生理学研究所とともに生命科学研究科を組織し,分子生物機構論専攻を担当し教育研究を行う。

 同大学は,学部を持たない大学院だけの大学である。大学院の課程は現在のところ後期3年の博士課程で,平成元年度から学生を受け入れており,また平成3年度から理学博士の学位取得者をだしている。

 

 大学院教育協力


 基礎生物学研究所は,大学共同利用機関として,広く基礎生物学及びこれに関連する分野における研究者の共同利用に供されるとともに,研究者の養成に関しては,国・公・私立大学の要請に応じて「特別 研究学生」を受け入れ,大学院における教育に協力を行ってきた。

 近年における,研究所の研究活動への大学院学生の参画の重要性に鑑み,平成9年度からは当該大学院学生を「特別共同利用研究員」として受け入れ,併せて研究指導を行い大学院教育の協力を行うこととした。

 


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