For Beginners〜初心者のための補足説明



1.  はじめに

<脳研究におけるISH法〜Molecular biologyとNeuroanatomyの接点>

脳研究においてISH法を最大限活用するためには、Molecular biologyとNeuroanatomyの両方マスターする必要があります。これは、実はかなり難しいことです。例えばMolecular biology中心のラボにとって、プローブを作るのは比較的簡単ですが、組織学的な解析は困難であり、何よりもNeuroanatomyの知識がなけれ ば、表面的な結果の解釈しかできません。逆に多くのNeuroanatomistにとっては、Molecular biologyの技術には馴染みがないだろうと思います。

このセクションでは、実験を実際に行う上で必要と思われる背景知識に焦点を絞って、補足の説明をいくつか書いてみました。「分子生物学初心者へ」の項目 は、分子生物学に馴染みのない人をターゲットに、プロトコルで説明無しに使用した用語の説明を行っています。「組織学初心者へ」は自分の経験を踏まえて、 アドバイス的な文章を書いてみました。参考にしていただけたら幸いです。


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 2.分子生物学初心者へ


〜クローニングとは何か:基本の基本


In situ hybridization (ISH) 法ではターゲットになるmRNAに相補的なアンチセンスRNAを合成する必要があります。RNAの人工合成にはRNAポリメラーゼを使います。

<RNAポリメラーゼ>

RNA ポリメラーゼはファージ(=バクテリオファージ:バクテリアに感染するウイルスのこと)由来のRNA合成酵素です。主要なものはT3, T7, SP6ポリメラーゼの3つで、それぞれT3/T7/SP6ファージ由来です。これらのポリメラーゼは20塩基対くらいの特定の配列(プロモーター)を認識 し、それ以降のDNA配列に対応するRNAを合成します。RNAポリメラーゼで合成される元になるDNAを鋳型(template)と呼び、その鋳型を元 にしたRNA合成を転写と呼びます。

試験管内(in vitro)で転写を起こすのに3つの要素が必要です。すなわち、RNAポリメラーゼ、そのポリメラーゼが認識するプロモーターを含む鋳型DNA、及び RNAの原料であるATP, GTP, CTP, UTP(NTPと総称)の3つです。このin vitro転写反応の際にdigoxigenin (DIG), Fluorescein (FITC), biotinなどの低分子で修飾したUTPを一定の割合で混ぜておくと、合成されるRNAにDIG, FITC, biotinが取り込まれ、目印になります。このようにして合成したRNAをプローブと呼び、ハイブリしたプローブの局在を DIG/FITC/biotinに対する抗体を使って明らかにするのがISH法の原理です。

さてRNAポリメラーゼや、NTP、 DIG-UTPなどはいろんなメーカーで市販していますが、鋳型DNAは自分の調べたい遺伝子のものを用意する必要があります。DNAを大量に生成する標 準的なやり方は、目的のDNA断片をプラスミドベクターにクローニングし、大腸菌で増やすことです。

<プラスミドベクター>

分 子生物学の最も基本的なツールがプラスミドベクターです。プラスミドとは、通常、数千塩基対からなる環状DNAで大腸菌で増殖することのできる複製起点 (ori)を有するものを指します。もともとは自然界に存在しているものですが、それを人工的に改変し分子生物学のツールとして使いやすくしたものがいわ ゆる「ベクター(運び屋)」です。プローブ用に使われるベクターにはさまざまな種類のものがありますが、我々はpBluescript II(pBS II)というベクターを使っています。Bluescriptベクターの構成を図示しました。

 Plasmid construct

プラスミ ドベクターは一般に、大腸菌内で増殖するのに必須な複製起点と、クローン選別のための薬剤耐性遺伝子(通常はアンピシリン耐性)を持っています(後述ク ローン選別の項参 照)。Bluescriptベクターの場合、この他にT3プロモーター配列とT7プロモーター配列が向かい合わせに配置されていて、この間に multicloning site (MCS)と呼ばれる領域があります。目的とする遺伝子配列がRNAポリメラーゼのプロモーター下流に「クローニング」されたプラスミドが、in vitro転写の鋳型作りの材料となります。

<クローニング>

プラスミドベクターに目的のDNA断片が挿入された組換プ ラスミドを作成することをクローニングと呼びます。なぜクローニングと呼ぶのかというと、プラスミド作成過程で「クローン」選別を行うからです。クローニ ングの際にはベクタープラスミドを切断したDNAと、目的遺伝子のDNA断片(インサートと呼びます)を酵素 (DNA ligase)を使って連結します(ライゲーションと呼ぶ)。ライゲーション反応の効率は100%にはならないので、その反応液にはさまざまな構造をもつ ベクター由来DNA(例えばインサートが連結されているもの、いないものなど)が混在していることになります。この中から目的のプラスミドを「クローン選 別」します。「クローン選別」の第一歩は大腸菌の形質転換(トランスフォーメーション)です。

<形質転換(トランスフォーメーション)>

大 腸菌をカルシウムなどで処理すると、膜の状態が変化して外部のDNAを取り込みやすい状態になります。このような大腸菌をコンピテントセルと呼びます(我 々はコンピテントセルは自前で作成していますが、購入も可能です)。コンピテントセルとライゲーション反応液を混ぜると、大腸菌内にプラスミドDNAが取 り込まれプラスミド上に乗っている遺伝子が機能して大腸菌の性質が変化します。この操作を形質転換(トランスフォーメーション)と呼びます。

<クローン選別>

   Bluescriptにはアンピシリン耐性遺伝子が乗っているので、Bluescriptベクターを取り込んだ大腸菌はアンピシリンに耐性となります。 従ってアンピシリンを含む培地に大腸菌を「まく」と、Bluescriptを取り込んだ大腸菌が選別されます。大腸菌を「まく」とは、アンピシリンを含む 寒天培地上に塗布することを言います。このとき適切な濃度でまいて、「コロニー」と呼ばれる菌集団が、数十から数百個ほど寒天培地上に分散して形成される ようにします。ここで注意して欲しいのはこのコロニーは一個一個が別々の「クローン」であるということです。トランスフォーメーションの際には、確率的に 普通1分子のベクターDNAが1個の大腸菌に取り込まれます。コロニーとは、この1個の大腸菌が指数関数的に増殖し、一晩で目に見えるくらい大きな細胞集 団になったものなのです。従って、同じコロニーの中の大腸菌は原理的には同じプラスミドを持った「クローン」であり、別のコロニーの大腸菌はそれとは別の プラスミドを持つ「クローン」だと言うわけです。
  プレートに生えたたくさんの大腸菌のコロニーの中から、目的とするDNA断片が挿入され たプラスミドを持つコロニーを選別するには、それぞれのコロニーを形成している大腸菌クローンを増殖してそこからプラスミドDNAを精製し、その構造を確 認します。もしDNA断片がベクター配列内に挿入されていることが確認されれば、クローニングが成功したことになります。

<In vitro転写用の鋳型つくり>

 
PCR fragment cloned

さ て図に示したような目的の遺伝子断片が挿入されたプラスミドができました。これをどう使えばいいのでしょうか?DNAは2本鎖ですが、RNAは1本鎖です から転写されるのは片側の配列だけです。図の場合、T3ポリメラーゼを使えば遺伝子と同じ配列のRNAが、T7ポリメラーゼを使えば遺伝子と相補的な RNAが転写されることになります。
    ところで、プラスミドをそのまま鋳型にしてしまうと、ポリメラーゼはプラスミドを一周して延々転写を続けます。これを避けるために、in vitro転写に使う鋳型は、以下のどちらかを使います。

> 山森研の場合

For template

遺伝子配列のすぐ後の適当な制限酵素でプラスミドを切断する。例えば、この場合T7ポリメラーゼで転写反応を行うと、アンチセンスRNAが転写されて、切 断部位で転写は停止する。センス用には反対側で切断する。

> 別の方法
 
遺伝子をはさんだ両側にプライマーを設定しPCRを行い、増幅したDNA断片を鋳型として転写反応を行う。センスもアンチセンスも同じ鋳型で転写が可能。

この両者のような方法で直鎖化(リニアライズ)した鋳型DNAを調製し、RNAポリメラーゼなどと混ぜてin vitro 転写反応をした後、RNAを精製すればRNAプローブのできあがりです。



〜ハイブリダイゼーションの補足説明



DNAは、G (グアニン)、A(アデニン)、T (チミン)、C(シトシン)、RNAはG (グアニン)、A(アデニン)、U (ウリジン)、C(シトシン)の 4種類の塩基から成り立っています。この4種類の並び方=配列が遺伝情報をコードします。配列には方向性があり、普通は生体内の合成方向に従って記載しま す。起始点を5’端、終点を3’端と呼びます。
  DNAは通常2本の分子が逆方向にからみあった構造をとっています。その際、GとC、AとTが結合し合います。従って例えば5’ -GGGGAAATTC-3’という分子は5’-GAATTTCCCC-3’という分子と 組になって2本が一本のユニットとして存在するわけです。このように互いに結合し合う分子のことを「相補的 (complementary)」と呼びます。
  一方RNAは生体内で1本鎖として機能します。RNAは2本の分子からなるDNAの情報を写し取る(転写)ことによって、核内にあるDNA情報のコ ピーとして働きます。ややこしい話になりますが、転写のメカニズムを少し説明します。
  DNAは遺伝情報そのもので、数千から数十億もの塩基が切れ目無しにつながっています。RNAは普通その一部だけが転写されます。転写が始まる場所は プロモーターと呼ばれる制御配列によって指定されます。さてDNAは2本鎖に対しRNAは一本鎖ですから、転写される配列は2本鎖のどちらか一方になりま す。RNAと同じ情報を持つ側をセンス鎖(もしくはコード鎖)、反対側をアンチセンス鎖と呼びます。位置関係を図に示します。
 
Scheme of mRNA transcription

図示したように、転写の際には互いに結合し合うDNA分子は一時的に解離し、アンチセンス側の配列を鋳型としてそれに相補的なRNAが、プロモーターに近 い場所から順番に合成されます。このメカニズムによりセンス側のDNAの配列情報とRNAの配列情報が一致するわけです。ちなみにデータベースに記載され ている”DNA”の配列情報は、普通はセンス鎖の配列です。
   このように相補的なDNA/RNAはもともと結合した状態で存在している(いた)訳ですが、適切な条件を整えれば別々に存在している相補的な DNA/RNA分子同士を特異的に会合させることができます。このような操作をハイブリダイゼーション(略してハイブリ)と呼びます。


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3. 組織学初心者へ


〜立体の脳を2次元(切片)で見る:基本の基本


ISHは脳を薄切 (15~40 µm)した切片を染色します。脳をどの方向から切るかによって、当然見え方は変わってきます。切片を見る場合どんな切り方をしたかを まず知る必要があります。何はともあれ次の3つの言葉を覚えましょう。

<coronal section(frontal section)>
   脳を前から後へ向かって輪切りにしていく切り方。
<horizontal section>
   脳を上から下へ、水平に切っていく切り方。MRI画像など。
<sagittal section>
   脳を左から右へ縦に切る切り方。
   中心軸から少しずれるのでparasagittalと呼んだりもする。

最初は解剖学用語は、似たような名前があちこちに出没してちんぷんかんぷんだと思いますが、相対的な位置関係を示す言葉をまず覚えると理解が進みます。

<anterior(前)posterior(後)>もしくは<rostral(口側)caudal(尾側) >
<superior(上)inferior(下)>
<lateral(外側)medial(内側)>



〜脳アトラス


ISHなどで染色した切片でどんな構造が染まっているかを調べるには、脳アトラスが助けになります。  私たちがよく使うアトラスは以下の通りです。

<ラット>

The Rat Brain in Stereotaxic Coordinates by George Paxinos, Charles Watson

・・・恐らくもっともpopularなアトラス

Chemoarchitectonic Atlas of the Rat Brainstem
    by Pascal Carrive、Hongqin Wang、Ping-Yu Wang、 George Paxinos  
Chemoarchitectonic Atlas of the Rat Forebrain
    by Laura Kus、Ken W. S. Ashwell、Charles Watson、 George Paxinos

・・・抗体染色のアトラス。

<マウス>

Mouse Brain in Stereotaxic Coordinates (Book & CD Rom)
    by Keith B J Franklin George Paxinos

・・・Paxinosアトラスのマウスバージョン

<アカゲザル>

The Rhesus Monkey Brain in Stereotaxic Coordinates
    by George Paxinos、Xu-Feng Huang、 Arthur W. Toga

・・・Paxinosアトラスのサルバージョン


最近はウェブ上でも、いろんなデータベースがあります(リ ンク参照)。

簡単にマウスの脳で遺伝子発現分布を見るにはAllen Brain Atlasが便利。2万遺伝子のマウス成体脳での発現が調べられます。リファレンスの脳アトラスは力作です。ただし Allen Atlasは少しバックグラウンドが高いので要注意。

NCBIのEntrezとリンクしているGENSATも 参考になります。Allen Atlasほどの規模ではありませんが、成体脳だけでなく生後脳のISH画像も公開しています。GENSATは、もともとBAC transgenicライン作成の大規模プロジェクトなので、既知遺伝子の転写制御配列でGFPをドライブした画像が調べられます。

マウス脳の発生過程でのISHパターンが知りたければ、genepaint.orgが 参考になります。

マウス以外の遺伝子発現データベースは、まだいいものがありません。今後、発展しそうなのが、BRAIBMAPS.ORG。 サルなどいくつかの種のさまざまな画像データが保管されており、他のデータベースへのリンクも豊富なので、参考にすると良いと思います。



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4.  業界用語辞典

ラボに入ると、辞書にも載っていない耳慣れない用語に出会ってとまどうことがあります。そこで、そういった「業界用語」を集めて解説してみました。ただし 非常にパーソナルな経験に基づいているので、どれくらい一般的かは不明。


<もれきゅら>


ベクター:プラスミドベクターのこと。最初期のベクターはpBR322だが、プラスミドコピー数が少ないので、特殊な用途以外はpUC系のハイコピープラ スミドに取って代わられた。ちなみにpUCの複製起点はpBRのものにmutationが入っているので、コピー数の制限がかからなくなっている。現在出 回っているほとんどのベクターは、pUC系の複製起点を持つ。pBlueScript, pSP, pEMBLなどなど。ちなみにウイルス屋さんは、治療用のウイルスベクターのことを「ベクター」と呼んで、野生型ウイルスと区別したりするらしい。

インサート:ベクターに挿入するDNA断片のこと。

コンストラクト:プラスミドとほぼ同義。プラスミド作成のデザインのことを指すこともある。

フェノクロ:フェノールクロロホルム処理

ペレット:沈殿

アンプ:アンピシリン

あおしろ:Blue-White selection。

カナマイ:カナマイシン

エタ沈:エタノール沈殿

リンス:70%エタノールリンス

トラホメ:トランスフォーメーションの略

コロピー:コロニーPCR

CIP(シップ):Calf intestine alkaline phosphatase。

オーバーナイト:一晩置くこと。人によって長さは違う。標準的には16時間くらいだが、8時間以上ならOKな場合が多い。

ガンマ(ギリシャ文字のg):マイクログラム
ラムダ(ギリシャ文字のl):マイクロリットル
一部の研究室で「フツー」に使われる用語。文化圏があるらしい。アメリカ由来?かつてはピペットマンの代わりに使われていたガラスのマイクロピペットの容 量表示にラムダと書いてあった。

ハイブリ:ハイブリダイゼーション

アルフォス:アルカリンフォスファターゼ。ISHでdetectionに使われる酵素のことを指すことが多いと思うが、CIPのこともアルフォスと呼ぶ人 もいる。

でぷし:DEPC。ディーイーピーシー、デペックなどとも呼ぶ。

えれぽれ:エレクトロポレーション

せしくろ:CsCl(セシウムクロライド)のこと。もしくはCsCl超遠心濃度勾配を使ったプラスミド精製法のこと。(用例)せしくろを回す(CsClの 超遠心を行うこと)。せしくろグレード。かつては、「きれいなプラスミド」が必要なときは、CsClの超遠心にかけたものだった。Quiagen社のキッ トが出回るようになって、ほとんど死語と化した。

コンタミ:コンタミネーション(contamination)。培養細胞に菌が生えた場合や、RI汚染をしたときなどに使う。ピペット操作の不備でサンプ ルが混ざってしまった場合、「クロスコンタミした」などとも言う。RNAプローブが壊れている場合、RNAseがコンタミしている可能性が高い。

エチブロ:エチジウムブロマイド(EtBr)。核酸の染色に使用。発ガン性があるので注意。高濃度液(10 mg/ml)が、手につくと手が染まる。

セントラルドグマ:
Crickらが提唱した、遺伝機構のモデル。DNAが遺伝子の 実体で、その遺伝情報はGATCの塩基配列情報として世代から世代へ受け渡される。DNAが「遺伝暗号」としてコードするのは、タンパクのアミノ酸配列で ある。DNAの塩基配列は、RNAポリメラーゼによってmRNA(メッセンジャーRNA)に「転写」される。mRNAの配列は、tRNA(トランスファー RNA)を介してタンパクに「翻訳」される。以上のステップによって遺伝子機能が「発現」する。このモデルはバクテリアからヒトまで共通する普遍的な機構 であるとされ、「セントラルドグマ」と呼ばれる。
   なお現在は、遺伝子から機能発現までの経路は、Crickが考えていたよりはるかに複雑であることが分かっている。たとえば、真 核生物で は、DNAの配列には「イントロン」が存在し、mRNA splicingを受けなければ、機能的なmRNAはできない。またRNAウイルスは、RNAゲノムを逆転写酵素によってDNAに戻す操作を行う。最近は タンパクをコードしないRNA分子が想像以上に多く存在することが分かってきたが、これらのRNAの役割はいまだによく分かっていない。また最近では遺伝 子配列としてコードされていない「エピジェネティック」な情報の役割が重視されている。



<ひすとろじー>


きょうかく:強拡=強拡大のこと。顕微鏡で高倍率で見ることをさす。

じゃっかく:弱拡大。低倍率の顕微鏡観察。

ニッスル:Nissl染色。よくNissleと間違えるので注意。神経系の基本染色の一つで、主にニューロンを染める。核酸を青く染める。「ニッスル染 色」とは、実際にはcresyl violetとか、thioninなどの染色試薬を使った染色の総称である。

いんさいちゅ:in situ hybridization histochemistry。ヒトによっていんさいちゅといったり、いんしちゅと言ったりする。

ひすと:histology。組織学的解析。

免染:免疫染色

カメラルシダ:顕微鏡画像を紙に投影して、マニュアルで模写する技術のこと。写真ではとらえきれない特徴を忠実に再現したり、さまざまな量の測定(面積、 長さなど)を行うのに古く(カハールの時代から)使われる手法。今でもコンピューターを使って似たようなことをしている(ニューロルシダ)。

ニューロルシダ:Neurolucida。くわしくはこ ちらを参照

トレーサー:神経間の連絡を調べるために使う標識物質。アクソンターミナルから取り込まれ、細胞体に輸送される逆行性トレーサーと、細胞体で取り込まれア クソンターミナルに輸送される順行性トレーサーがある。1970年代初頭にトレーサー技術が導入されるまでは、ターゲットの壊死に起因する逆行性ニューロ ン変性を指標にしたNauta法が広く使われた。最初期のトレーサーは、アイソトープ標識したアミノ酸(順行性)や、HRP(horse radish peroxidase)、WGA(wheat germ agglutinin)-HRP(両方向)で、現在では、FastBlue, FluoroGold, FluoroRuby, DiIなどの各種蛍光トレーサーの他、BDA, CTB, latex beadsなどさまざまなオプションがある。


面出し:凍結、パラフィンなどで固めた組織ブロックを薄切切片にするとき、必要な断面が出てくるまで少しずつ切り進める作業のこと。

金コロ:金コロイド粒子。電子顕微鏡免疫染色の際、標識に使う。


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以上 文責 渡我部