基礎生物学研究所・形態形成研究部門 形態形成研究部門 Division of Morphogenesis, NIBB トップページ サイトマップ English
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研究概要

研究概要

生きものの形作りに共通する分子基盤

動物の複雑な「かたち」はどのようにできるのか、その仕組みを分子や細胞レベルで解き明かすのが私たちの目標です。研究の進歩によって、一見多様に見える生物もそれらをかたちづくる基本の仕組み自体には大きな違いはなく、良く似た遺伝子を少しだけ使い分け、使う時期や場所を変えることによって、多様なかたちを作りだしています。私たちは様々な動物を研究に用いて、形づくりを支えるしくみを遺伝子やタンパク質ばかりでなく、物理的な力も考慮して探ろうとしています。

力学応答におけるErk2シグナルの役割

動物の発生過程では、ダイナミックな形態形成運動によって物理的な力が発生します。そのような力を胚の細胞が受容し、応答するメカニズムやその役割は、未だ大きな謎です。私たちは、アフリカツメガエル胚を用い、原腸形成における外胚葉の伸展という力学刺激が、FGF受容体と、その下流のErk2プロテインキナーゼを活性化することを明らかにしました。さらに、このシグナルの活性化により、F-アクチンや細胞接着に関わるタンパク質の局在が変化し、細胞骨格や細胞接着を強化して、胚を頑強にする役割を果たしていることを突き止めました(図1)。このような力学依存的シグナルによる、細胞接着・細胞骨格の動態制御の仕組みを調べることで、細胞の力学応答の分子メカニズム、発生におけるその意義をさらに明らかにしていきたいと考えています。

図1. 力学刺激により変化する胚の"硬さ"
(A)原子間力顕微鏡による硬さ測定の原理。プローブに試料を押し当て、その変形をレーザーによりモニターする。
(B)アフリカツメガエル胚の測定。矢印はプローブ。
(C)外胚葉への伸展刺激は硬さを増加させ、Erk活性阻害(MEKi)はその増加を抑制した。

脊索形成のメカニズムを探る

脊索という組織は、ヒトを含めた脊索動物にだけ見られる特徴的な構造で、形態形成過程において体づくりの中軸を担う重要な器官です。私たちは、脊索ができる過程を明らかにすることによって、脊索動物の誕生と進化を理解しようとしています。そのために、脊索を持つ祖先的な動物群である頭索動物のナメクジウオ、尾索動物のホヤなどの脊索形成遺伝子の機能と遺伝子調節ネットワークを解析し、個体発生と進化の両面においてにおいて、脊索組織の形成の仕組みを明らかにしたいと考えています。

サンゴの生態と環境応答

サンゴは、細胞内に褐虫藻を共生させ、共生藻から受け取る光合成産物を栄養源としています。したがって、生息地の光環境はサンゴの生存を左右する重要な物理要因の一つであると考えられます。しかし、サンゴが個体レベルで光に対してどのように応答するのかはこれまで明確になっていませんでした。私たちは、サンゴの光応答特性を明らかにするために、遊泳性をもつ幼生を用いて様々な光条件のもとで行動解析を行ないました(図2)。その結果、サンゴの幼生が刺激光の減衰、主に短波長成分の減少に応じて遊泳を一時停止することを明らかにしました。また、この反応が明環境への集積の素反応となることが示唆されました。今後、このような光受容・光応答のメカニズムを明らかにし、適応的な意義を明らかにしていきたいと考えています。

図2. 大型スペクトログラフを用いた幼生の行動実験
様々な波長下での幼生の応答を調べるために大型スペクトログラフを用いて行動観察を行った。各光環境下で撮影した動画から幼生の遊泳速度や遊泳方向を算出した。 。

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