第7回 配偶子制御セミナー


“プラナリア全能性幹細胞の維持と分化の分子機構”

講師  柴田典人先生(特任助教)
所属  京都大学 理学部 生物多様性学特別講座
日時  平成21年10月9日(金)15:30 − 17:30
場所  慶應義塾大学 理工学部 14棟14−513室


講演の内容

 扁形動物門、三岐腸類に属する淡水産プラナリア、ナミウズムシ(Dugesia japonica)は、個体の成長に伴う横分裂(fission)により二分し、
それぞれの断片が完全な個体へと再生することによって増殖する無性生殖と、雄性雌性の生殖細胞を介した有性生殖の2タイプの生殖様式を持つ。
特に無性生殖は、ナイフでプラナリアを6断片に切断すると6匹のプラナリアが再生するというように、人為的に容易に再現できる。
 我々の研究室では、1匹のプラナリアから系統化したプラナリアが約20年間、無性的に増殖、維持している。
この驚異的な無性生殖の能力、すなわち再生能力は全細胞数の約25%を占める新生細胞と呼ばれる体性幹細胞集団に依存している。
新生細胞は生殖細胞を含む全ての細胞に分化できる分化全能性を有しており、再生過程のみならず、個体の恒常性の維持において
必要な細胞を供給し続けながら、自身も維持し続けている。
 この約10年間の間に、プラナリアにおいて様々な分子生物学的手法が確立され、新生細胞の全能性の維持や、分化機構の分子基盤が明らかになりつつある。
そこで、本セミナーでは、我々の研究室で明らかにしつつある生殖細胞特異的遺伝子の幹細胞制御機構、
Piwiタンパク質やp53関連遺伝子による全能性の維持機構について紹介し、さらに現在立ち上げつつある最新の実験についても触れてみたい。

問い合わせ ;
慶應義塾大学 理工学部 
小林一也 (goldenpla@hotmail.co.jp)