第27回 配偶子制御セミナー
ヒストンの多種多様性を介したエピジェネティク制御
講師 浦(青田) 聖恵 博士
所属 大阪大学大学院医学系研究科
(Division of Gene Therapy Science, Osaka University School of Medicine)
科学技術振興機構 さきがけ(JST, PRESTO)
日時 平成24年10月24日(水)13:15-
場所 横浜市立大学医学部 A209会議室
講演の内容
近年、ヒストン修飾やバリアントの存在によるヒストンの多種多様性が、エピジェネティクス制御の重要な分子基盤になると考えが定着しつつある。しかし、遺伝子発現の多段階反応過程におけるヒストンの多種多様性の分子機能の全体像は未だに捉えられていない。この問いに答えるために、私達はリンカーヒストンH1の多種多様性とゲノム全体で進行中の転写活性領域をマークするコアヒストンH3の36番目のリジン残基のメチル化酵素(H3K36me) Wolf-Hirschhorn syndrome candidate 1 (Whsc1)に焦点を当ててクロマチン研究を進めて来た。
WHSC1遺伝子は、口蓋裂や発育不良、精神遅滞の症状を特徴とした4p-症候群(Wolf-Hirschhorn syndrome)の遺伝子欠損領域に含まれ、私達は再構成クロマチン鋳型、Whsc1欠損ES細胞および欠損マウスを駆使して、Whsc1がヌムレオソームのヒストンH3K36特異的なメチル化酵素であり、4p-症候群の主要な原因遺伝子である事をつきとめた(Nimura and Ura et al. Nature 2009)。そして現在、DNA切断、組み換えを積極的に細胞分化のプログラムに組み込んだリンパ球系で、“転写反応自体をDAN損傷誘発因子”として捉えてH3K36メチル化酵素Whsc1の機能解析を進めている。単純に転写活性化状態を正か負に2分する制御と次元の異なる、ヒストン修飾を介したゲノム機能制御について議論したい。
問い合わせ ;
横浜市立大学大学院医学研究科
大保和之 (kohbo@yokohama-cu.ac.jp)
℡:045-787-2567
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