第24回 配偶子制御セミナー

減数分裂期mRNA分解 - 保存された分化抑制機構か?

講師  杉山智康 博士
所属  筑波大学大学院生命環境科学研究科
日時  平成24年6月28日(金)16:00-17:00
場所  山手3号館2階共通セミナー室

講演の内容
 減数分裂は、受精に先立ち正しく染色体数を半減させると同時に、相同染色体間に高頻度の組換えを誘発して遺伝情報の交換・多様性をもたらす極めて重要なステップになっている。分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)において、減数分裂の開始および実行に必要な遺伝子群のmRNA(減数分裂期mRNA)は、通常の栄養増殖状態では殆ど存在しておらず、減数分裂期mRNAの転写は栄養増殖期には起こらないと考えられていた。近年の研究により、減数分裂期mRNAの少なくとも一部は栄養増殖期にも転写されており、これらが積極的に分解されることで発現レベルが低く保たれていることが報告され、転写後調節による減数分裂の抑制機構の存在が明らかとなった。しかしながら、その詳細な機構には不明な点が多く残されている。  
 我々は、分裂酵母における核内構造体形成因子の同定、及びその機能解析を行ってきた。これまでに、新規核内構造体形成因子Red1を同定し、Red1が減数分裂期mRNA分解に必須の因子であることを見出した。本セミナーでは、Red1の機能、減数分裂期mRNA分解におけるポリA鎖付加の重要性を他のグループの発見も含めて紹介するとともに、新規減数分裂期mRNA抑制因子Rhn1の機能解析、分裂酵母で発見されたmRNA分解による分化抑制機構が進化的に保存されている可能性についても議論したい。

問い合わせ ;
自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター 
小林悟 (skob@nibb.ac.jp)
℡:0564-59-5875

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