Report

JSDB-GFE Joint meeting of Developmental Biology に参加して

開催期間:平成23年3月23日 - 26日
開催場所:Dresden University of Technology, Germany


基礎生物学研究所・発生遺伝研究部門・橋山一哉

 2011年3月23日から26日までの4日間、ドレスデン市(ドイツ)で開催された、日独合同発生学会に参加しました。口頭発表が約50題、ポスター発表が約200題とコンパクトながら日独以外からの参加者も多く、有意義な会でした。幸いなことに口頭発表に採択していただき、「ショウジョウバエ生殖細胞系列における性決定機構」について発表しました。慣れない英語での口頭発表ということもあり、相当緊張しましたが、小林悟教授との連日の猛特訓を思い出し、無事に発表を終えることができました。発表後には生殖細胞の性決定研究における先駆者である、Trudi Schüpbach博士や線虫の生殖細胞系列の研究で有名な Geraldine Seydoux博士とお話することができました。普段は論文という2次元の世界でお会い?していた為、「どの様な方なのだろうか??」と勝手な妄想を膨らませていましたが、お二人とも柔らかい表情でお話される素敵な方でした。また、私のメチャクチャな英語にも辛抱強く受け答えしていただき、有意義な時間を過ごしました。
 お二人の発表もパワフルで印象に残りました。Schüpbach博士は、ショウジョウバエ卵形成過程において、Notchシグナルを制御する新規遺伝子の同定について遺伝学的手法を用いて明快に報告されました。Schüpbach博士の発表の直前、偶然隣りに座っていたのですが、先ほどまでの柔らかさが消え、鬼気迫る表情でご自身の発表を準備されているのを見て、一つの発表に対し、いかに真剣に臨んでいるのかが伝わってきました。Seydoux博士は生殖顆粒の極性化における新しい知見を、データをたたみかける様に発表されていました。また、何枚かの写真がうまく投射されないことを気にされており(私には十分に感じたのですが)、納得いくまでプロジェクターを操作されていました。博士の常にベストを尽くす姿勢に感銘を受けました。ちなみに、それ以降の発表者のスライドは皆、コントラストが強めでした。
 また、学会後、デュッセルドルフ大学をセミナーのために訪れた際、幾つかの発見がありました。日本ではセミナー後、拍手をすることが一般的ですが、ドイツでは聴講者が机を「ドンドン」と叩いていました。某番組の「ガッテン!」みたいな感じです。なんだか、ブーイングをされている様で驚きました。滞在中、3月27日に冬時間から夏時間に変わりました。この日は移動日にあたり、危うく飛行機に遅れそうになりました。また、日曜日にお土産を買う予定でいたのですが、ほぼすべての店が休業でした。ドイツの方に聞くと、法律で決まっているとのことでした。今回の海外出張では、文化や風習の違いに戸惑うこともありましたが、憧れの研究者、同年代の研究者とのコミュニケーションを通じて、多くの収穫を得ることができました。最後に、今回の日独合同発生学会への参加をご支援いただきました新学術領域「配偶子幹細胞制御機構」の先生方に厚く御礼申し上げます。


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