基礎生物学研究所
Organizers | 高田 慎治 基礎生物学研究所/岡崎統合バイオサイエンスセンター 川原 敦雄 理化学研究所・生命システム研究センター 木下 政人 京都大学大学院農学研究科 矢部 泰二郎 基礎生物学研究所/岡崎統合バイオサイエンスセンター |
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Venue | 基礎生物学研究所・バイトレミーティングルームおよびバイトレ実験室 | |
Date | Feb. 25-27 & Feb. 25-Mar. 1, 2013 | |
Link | ウェブサイト (http://www.nibb.ac.jp/practical2013/) | |
特定の遺伝子を標的にして変異体を作出するいわゆる逆遺伝学的方法論は、相同組み換えを利用した遺伝子ノックアウト個体の作出が可能なマウスのような生物種においてはすでに確立しており、数多くの変異体が作出され研究に用いられています。しかしながら、それ以外の生物種においては、ES細胞が樹立できないことなどの理由から、遺伝子ノックアウト個体の作出が長い間困難な状況にありました。これに対して、近年、新たな逆遺伝学手法として、人工ヌクレアーゼを用いて標的とする遺伝子を切断し、変異を導入する方法が注目されています。特に、TALEヌクレアーゼ(TALEN)による遺伝子破壊はこの1年ほどで大きな技術的進展をとげ、小型魚類においては、一般的な研究室レベルで容易に標的とする遺伝子の破壊が可能になりつつあります。このような状況のもと、TALENによる遺伝子破壊法の習得を希望する国内の小型魚類研究コミュニティからの強い要望に応えるため、京都大学 木下先生、理化学研究所 川原先生の協力のもと、本トレーニングコースを開催しました。
本コースの計画をした当初は15名程度の参加者を見込んでおりましたが、参加を希望される方々が予想を遥かに超えて多かったために、参加者を2グループに分け、2日半のコースを2回行いました。参加者が各々の研究室に戻った時にTALEN法による遺伝子破壊実験を実際に実践できるようになることに主眼をおき、TALEN法のポイントとなる技術の習得に特化し、TALEN法に用いるDNAコンストラクトの作成とゲノムDNAへの変異導入効率の評価法の実習を行いました。また、実習の合間には講師による講演を行い、TALENによる遺伝子破壊の基本原理や小型魚類への応用方法の解説を行うとともに、それぞれの講師の研究室における実施例の紹介を行いました。実習と講演のどちらにおいても、非常に活発に質問がなされ、参加者の方々の本技術への並々ならぬ関心を実感することとなりました。さらに、期間中には懇親会もあり、講師や参加者の間での交流が活発に行われました。このようにして生まれた人的ネットワークも活用されつつ、ここに集った方々の研究がこれからますます発展されることを期待しています。
(高田 慎治、矢部 泰二郎)